この数年でクラウドファンディングを活用する人が増えたかと思います。クラウドファンディングとは、インターネットなどを通じて、不特定多数の群衆(=crowd[クラウド])から資金を調達(=funding[ファンディング])するという意味です。
クラウドファンディングは誰でも簡単に多くの人から資金を集められるということで、事業を開始する方などから注目を集めています。
この記事ではクラウドファンディングの仕組みと注意点、そしてクラウドファンディングにかかる「税金」についても触れていきます。
クラウドファンディングをこれからやろうと考えている方はぜひご参考にしてください。
クラウドファンディングとは
クラウドファンディングとは、ある目的のために不特定多数から資金を集める行為、またはそれを行えるネットサービスの総称です。最近では主にインターネットを通じた資金集めのことを指し、ネット上で自身の達成したいことや想いを上手くPRすることで、数日で数百万円の資金を集めることも可能です。
この記事では、資金を調達する側のことを「起案者」、資金を提供する側のことを「支援者」と表記します。
クラウドファンディングの流れ
クラウドファンディングの種類
クラウドファンディングには、融資型、株式投資型、購入型、寄付型の4つの種類があります。それぞれの違いを見ていきましょう。
融資型
融資型クラウドファンディングは、複数の支援者から小口の資金を集めて、大口化して借り手企業に融資する形のクラウドファンディングです。ソーシャルレンディングとも呼ばれています。基本的にはクラウドファンディングで募集する際に利回りが決まっており、支援者は金利を受け取ることでリターンを得ることができます。
株式投資型
株式投資型クラウドファンディングは、個人ではなく株式会社が起案者となります。
支援者は投資をする代わりに起案企業の未公開株式を受け取ることができます。
ベンチャー企業をはじめ、IPOやM&Aが期待できる企業に投資すれば、支援者は大きなリターンを見込むことができます。
購入型
SNSなどで私達がよく目にするクラウドファンディングの大多数がこちらの購入型クラウドファンディングとなっています。
購入型クラウドファンディングの支援者は、リターンとして支援金額に応じた商品やサービスを受け取ることができます。
寄付型
寄付型クラウドファンディングは、被災地支援などのプロジェクトに多く見られます。
集まった資金の全額が寄付になるので、支援者には基本的にリターンはありません。
起案者・支援者ともに社会貢献の意識が高く、被災地支援の他、環境保全や業界支援などの内容のものが多いです。
All-in方式とAll-or-Nothing方式
購入型クラウドファンディングには更にAll-in方式とAll-or-Nothing方式に分けられています。
All-in方式とは、設定した目標金額に達していなかったとしても金額のすべてがもらえる方式です。支援者全員にリターンを送る必要があります。
All-or-Nothing方式とは、設定した目標金額がすべて集まらないとお金が受け取れず、集まらなかった場合は支援者に全額返金する方式です。
どちらの方式にするかは起案者の目的次第です。必要な金額が集まらないと目的が実施できない場合にはAll-or-Nothing方式を選択した方が良いかと思います。
起業とクラウドファンディング
起業を目指す人にとっての大きな悩みのひとつに起業資金の調達があります。
資金の調達でまず代表的なものは金融機関からの融資や補助金ですが、クラウドファンディングも合わせて行うことをお勧めします。
クラウドファンディングでの資金集めには以下のメリットがあります。
クラウドファンディングで起業資金を募った場合、クラウドファンディングのサイトやSNSなどのインターネットを通じて、事業の内容が多くの人の目に触れることになります。クラウドファンディングを行うことで自然と事業のPRをすることができるのです。
基本的にクラウドファンディングサイトは審査や掲載まで全て無料です。つまり、目標金額に達すれば事業資金の調達という望みは叶いますし、たとえ目標金額に達しなかった場合でも損になることはありません。金銭面に関するリスクが低いことも、クラウドファンディングが気軽に出来る大きな特徴といえます。
起業時のクラウドファンディングの注意点
気軽に出来て便利なクラウドファンディングですが、注意点もいくつかあります。
注意1・アイデアや事業プランを他人に盗まれるおそれがある
より多くの支援者を獲得するためには、SNSを通じて広く世間にビジネスアイデアを公表しなければなりません。アイデアや事業プランを公表すれば、もちろん事業のPRにつながりますが、同時にせっかく考えたアイデアや事業プランを他人に盗まれる可能性も出てきます。特に、世の中に出ていない新しいアイデアの事業を創業しようとする際は、非常に大きなデメリットになってしまいます。
注意2・資金が手元に入るまでに時間がかかる
クラウドファンディングでは期間を決めて募集を行ないます。審査なども含めると数か月かかるケースも少なくありません。銀行などからの融資と比べると手元に資金が入るまでに時間がかかります。時間とのバランスを十分に検討しましょう。
注意3・資金調達できないリスクがある
クラウドファンディングでは、当然ながら募集しても思うように支援者からの賛同を得ることができず、資金が集まらないケースもあります。クラウドファンディングの利用自体は無料とはいえ、クラウドファンディングの資金をあてにして事業計画をしていた場合はその後の計画を大きく見直す必要も出てくるでしょう。
注意4・税金がかかることがある
次項で詳しく解説いたしますが、クラウドファンディングで集めた資金には税金がかかることがあります。かかる税金はクラウドファンディングの種類やリターンの内容によって異なりますので、申告漏れが無いように注意しましょう。
クラウドファンディング起案者にかかる税金
融資型&投資型クラウドファンディング
借入や新株発行による資金調達と同じのため税金はかかりません。
購入型クラウドファンディング
資金調達時には税金はかかりませんが、支援者に商品やサービスを提供した時に売上として計上する必要があります。起案者が個人事業主なら事業所得の収入に、個人事業主でないなら雑所得の収入になり、税金が課され、確定申告が必要となります。
寄付型クラウドファンディング
基本的に贈与扱いになります。以下3つのパターンによってかかる税金が変わってきます。
「個人」→「個人」の場合
贈与税がかかります。贈与税には年間110万円の基礎控除があるため、到達額が110万円超の場合には、贈与税の申告と納税が必要となります。
「法人」→「個人」の場合
一時所得になるため所得税になります。一時所得には50万円の特別控除があるため、金額が50万円を超える場合には、確定申告と納税が必要です。
「個人」→「法人」もしくは「法人」→「法人」の場合
法人税がかかります。
代表的な購入型クラウドファンディングサイト
購入型(寄付型)の代表的なクラウドファンディングサイトを紹介いたします。
①CAMPFIRE
特徴:国内で最大級のクラウドファンディングプラットフォーム。ビジネスから映画、音楽など幅広いプロジェクトに対応。プロジェクト公開前の審査が最低限に絞られているため、すぐに公開できるのが特徴。
手数料:12%+決済手数料5% = 17%
②READYFOR
https://readyfor.jp/crowdfunding/
特徴:社会貢献性の強いプロジェクトや「街づくり」に関するプロジェクトが多いのが特徴。
手数料:7%+決済手数料5%=12%(シンプル)、12%+決済手数料5%=17%(フルサポート)
③Makuake
特徴:商品開発やイベント提携が得意。韓国市場に強いのも特徴。
手数料:20%
他にも飲食店に特化しているなど、より専門的なクラウドファンディングサイトがあります。サイトをいくつか見て回り、自分の行うプロジェクトに合っているクラウドファンディングサイトを選びましょう。
クラウドファンディング成功の秘訣
「すでに評価されているものは評価されやすい」
クラウドファンディングのサイトを覗けば、たくさんのプロジェクトがあります。多くの選択肢が目の前にある中で、より注目が集まりやすいのは、既にある程度の金額が集まっているプロジェクトです。人間の心理として、1円も集まっていないプロジェクトよりも、ある程度お金が集まっているプロジェクトのほうが魅力的に見えてしまうのです。
「他の人も評価しているからこれは期待できる」と、ネットの口コミ数などを見てお店を決めるのと同じように、人は既に評価されていることに価値を感じやすいのです。
そうは言っても、支援者が集まるためにある程度の金額を集めておく、というのは難しいものでず。それが出来たら苦労しないというところでしょう。
SNSで不特定多数の人にPRすることは重要ではありますが、まずは身近にいる人達に自分の行いたいことをPRするのがコツです。身近な人達の支持を集め、ある程度の金額が集まれば、他の支援者からも魅力的なプロジェクトに映るかもしれません。
おわりに
起業を目指す人にとっては手軽に出来、利用する価値があるクラウドファンディング。
しかしまるっきり1人で1から始めるとなるとマーケティング方法やPRの仕方など分からないことも多く、難しいのも現実です。
会社設立サポートセンター練馬では、起業時のあらゆるお悩みに対応いたします!
些細な事でも構いませんので、気軽にお問い合わせください。