早めの準備が肝心!キャリアアップ助成金(2022年時点)

2024年5月24日追記:
本コラムは、2022年執筆時点での内容となります。

目次

キャリアアップ助成金とは

非正規労働者の待遇をアップした場合にもらえる助成金です。
有期契約労働者を正社員や無期契約労働者(以下「正社員等」)に転換した場合の「正社員化コース」をはじめ、有期契約労働者の賃金を増額改定したときの「賃金規程等改定コース」や正社員と共通の諸手当を設けたときの「諸手当制度共通化コース」など、様々なコースがあります。

今回はその中から最も取組みやすいとされる「正社員化コース」の概要を紹介いたします。

キャリアアップ助成金「正社員化コース」とは

契約社員やパート・アルバイト、派遣社員などの非正規労働者を正社員等に登用した場合に申請できる助成金です。
なお、このページでは契約社員やパート・アルバイトから正社員等へ登用するケースを想定します。

こんな場合にオススメ

  1. これから人を雇い入れようと考えている場合
  2. 現在雇用している非正規労働者を正社員等に登用しようと考えている場合

助成金額

「正社員化コース」でもらえる助成金額は以下のとおりです。(2022年現在)

1)有期契約→正社員

助成金額:57万円(生産要件を満たしている場合は72万円

2)有期契約→無期契約

助成金額:28万5000円(生産要件を満たしている場合は36万円

3)無期契約→正社員

助成金額:28万5000円(生産要件を満たしている場合は36万円

事業主の要件

「正社員化コース」を申請できる事業主は以下の項目全てを満たしている事業主です。

①雇用保険に加入している
②キャリアアップ管理者を置いている
③キャリアアップ計画を作成し、労働局の確認を受けている
④法定帳簿(労働者名簿・賃金台帳・出勤簿)を整備している
⑤キャリアアップ計画期間内に対象の非正規労働者を正社員等に転換している
⑥非正規労働者から正社員等へ転換する制度を就業規則等に規定している
⑦対象労働者を正社員等へ転換後6か月雇用し、6か月分の賃金を支払っている
⑧対象労働者の転換前後の各6か月間の賃金を比較して、基本給を3%以上増額させている(賃金額に賞与は含めません)
⑨労働法令等を遵守している

申請手順

STEP
キャリアアップ計画書を作成し、労働局へ提出する

キャリアアップ管理者を配置し、キャリアアップ計画を作成して、労働局の確認を受けます。

STEP
就業規則等を変更または作成し、労働基準監督署へ届出する

正社員等への転換規定を就業規則等に設け、労働基準監督署へ届け出ます。
(10人未満の事業所は労働基準監督署への届け出の代わりに、申立書の提出でも可能)

STEP
対象労働者を非正規労働者として6か月雇用した後に正社員等に転換する

就業規則等に従い、正社員等に転換します。転換後の労働条件通知書(雇用契約書)を交付します。
※基本給を3%以上アップさせる必要があります。

STEP
正社員等に転換後6か月間、対象労働者の雇用を継続する
STEP
支給申請する

転換後6か月分の給与を支払った翌日から2か月以内に支給申請をします。

STEP
助成金が指定口座に振り込まれる

支給決定の通知書が交付され、助成金が振り込まれます。

!注意!
「正社員化コース」の申請は、必ずキャリアアップ計画書の作成から始めます。
キャリアアップ計画書の作成と届出、就業規則等の変更を忘れてしまうと申請が出来ません。
事前に全体の流れを把握し、計画的に準備していくことが必要です。

「正社員化コース」の対象となる労働者

「正社員化コース」の対象となる非正規労働者は以下のいずれかに該当する者です。

① 支給対象事業主に雇用される期間が通算して6か月以上3年以下の有期契約労働者
② 支給対象事業主に雇用される期間が6か月以上の無期雇用労働者

!注意!
必ず6か月以上非正規労働者として雇用してから正社員等に転換します。
また、正社員等に転換しようとする非正規労働者が以下のいずれかに該当する場合は助成金の対象外なので、申請が出来ません。
① 初めから正社員等として雇用することを約束して雇われた場合
② 転換日の前日から過去3年以内に当該事業主の事業所で正社員等として雇用されていた場合
③ 事業主又は取締役の3親等以内の親族の場合
④ 転換日の前日から起算して1年6か月前の日から6か月前の日までの間において当該事業所の親会社や子会社、代表取締役が同一の会社、役員が半数以上同一の会社に雇用されていた場合
⑤ 支給申請日において事業主都合で解雇されている場合

「正社員化コース」の対象となる事業主

次のすべてに該当する事業主が「正社員化コース」の対象となる事業主です。

①転換制度を就業規則等に規定し、労働基準監督署へ届け出ていること(従業員数10人未満の場合、届出は義務ではない)
②支給申請日において転換制度をやめていないこと
③対象労働者について、転換前の基本給より3%以上昇給させていること
④転換日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間に、当該事業所において事業主都合で離職した労働者がいないこと
⑤正社員等へ転換した日以降の期間、当該者を雇用保険被保険者として適用させていること
⑥正社員等へ転換した日以降の期間、当該者を社会保険の被保険者として適用させていること(ただし、社会保険が適用されない事業所の場合や、社会保険の加入要件に満たない場合を除く)

まとめ

キャリアアップ助成金「正社員化コース」の申請で特に気をつけるべきことは以下5点です。

①転換日前までにキャリアアップ計画書を提出すること
②就業規則等に転換規定を設け、労基署に届け出ること
③対象となる非正規労働者を6か月以上雇用した後に正社員等に転換すること
④支給申請期間内に申請すること
⑤法定帳簿(労働者名簿・賃金台帳・出勤簿)を整備していること

キャリアアップ助成金は従業員にとっても雇用形態などの待遇がアップすることから、企業と従業員の双方にメリットがある助成金です。
会社を設立する際はキャリアアップ助成金を活用するのも良いかと思います。

助成金のご相談から申請書作成まで全て「会社設立サポートセンター練馬」におまかせください。

キャリアアップ助成金「正社員化コース」についてもっと詳しく知りたい方はこちら(厚生労働省HPリンク)をご参照ください。

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