2024年5月24日追記
本記事で紹介しております「新創業融資制度」は、2024年3月31日をもって取扱いを終了しました。
今は1円からでも起業をすることができ、日本政策金融公庫が発表しているデータによれば、多くの方が100万円未満となっています。
しかし、例えば法人を設立するだけでも6~20万円ほど必要になります。他にもオフィスやテナントを借りたり、備品の調達をしたりと、起業時にはどうしてもお金が多くかかってしまいます。
これらのお金を自己資金だけで用意するのは難しいことです。そのため、金融機関からお金を借りることになると思います。ですが、民間の金融機関は起業したばかりで実績のない会社に対しては融資を渋る傾向があります。
そんな時に強い味方となってくれるのが、日本政策金融公庫です。ここでは、日本政策金融公庫メリットとオススメの融資について説明します。
日本政策金融公庫を利用するメリット
金利が安く、固定
日本政策金融公庫(以下、公庫と略します)の金利は、基本的に銀行融資に劣らない低い利率が設定されています。業績の良し悪しによって金利が変わったりすることもなく、申込み要件を満たせばその融資に見合った金利が適用されます。
また、公庫の利率は融資商品によってあらかじめ定められているため、借入の前に何%の利率が適用され、利息がいくらになるのかを知ることができます。
資金調達のコストが事前にいくらになるか知ることができるのは、公庫の融資のメリットの1つです。
長期での融資が可能
公庫は他の金融機関と比較して返済期間が長く、融資の申し込み時に自分で設定することができます。返済期間は融資を受けた資金の用途が設備資金か運転資金かで異なります。
また、借入してすぐに返済を始めることが困難な方のために、元本の返済を据え置き、金利のみの返済を行う「据置期間」を設定することもできるため、資金繰りに余裕を持たせることができます。
新規開業者に優しい
起業したばかりですと、銀行は融資した資金を回収できるかの判断できないため、融資を渋ることが多いです(信用保証協会などを利用することで融資を受けやすくすることはできます)。
それに対して公庫は、起業したばかりの会社にも積極的に融資を行っており、中には無担保・無保証人で受けられる融資もあります。
また、予定通りに返済することが困難な場合は、返済期限の猶予や分割払いを受け入れてもらえたり、返済計画をリスケジュールしてくれたりします。
このように、起業する人にとって公庫の融資は非常に力強い味方となってくれるはずです。
新創業融資制度(2024年3月31日取扱い終了)
新たに事業を始める方や事業を開始して間もない方向けの融資は多くありますが、その中でも一番利用しやすいのが「新創業融資制度」になります。
最大の特徴が、融資を受ける際に担保や保証人が必要ないことです。通常の融資では、担保が不要な融資であっても代表者個人が保証人になることを求められることが多いですが、この融資制度ではその保証人が必要ありません。そのため、会社に万一のことがあっても代表者個人が負債を負うことはありません。
申請要件
新創業融資制度を利用するためには、次の2つの要件を満たす必要があります
1.対象者の要件
新規創業者を対象にしているため、事業開始後2期以内の創業者を対象としています。そのため、事業後2期を過ぎると要件を満たさなくなってしまいます。
2.自己資金の要件
創業資金総額とは、創業する事業をこれから行っていくためにかかる設備投資や経費などを指します。この総額の10分の1以上の自己資本を持っていることが必要となります。
要件自体は10分の1となっていますが、審査を通過するには3分の1程度は必要と言われています。
融資額
3,000万円(うち運転資金1,500万円)を限度額に融資を受けることができます。
利率
利率は借入の機関などによって異なり、利率は一定期間で見直しが行われます。
無担保・無保証人の融資なので、公庫の他の融資制度と比べると少し高いですが、他の銀行に比べると十分低い利率となっています。
詳しい利率についてはこちら
金利情報|国民生活事業(主要利率一覧表)|日本政策金融公庫 (jfc.go.jp)
返済期間
返済期間は各融資制度に定める返済期間以内となっています。これは、この新創業融資制度が単体で利用するものではなく、他の融資制度のオプションのような形で扱われるからです。そのため、返済期間は一緒に利用する融資制度を基準に決定されます。
融資制度についてはこちら
融資制度一覧から探す|日本政策金融公庫 (jfc.go.jp)
申し込み方法
1.相談
電話、支店窓口、オンラインで融資制度や申し込みについて相談をすることができます。
2.申し込み
借入申込書を支店窓口へ直接、もしくは郵送で提出します。
添付する書類には以下のようなものがあります。
- 創業計画書(公庫のHPからダウンロードできます)
- 設備資金申込みの場合は見積書
- 履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人の場合)
- 運転免許証又はパスポートのコピー 等
3.面談
書類の提出から1週間ほどで面談の連絡が来ます。面談は、事業計画についての資料や資産・負債のわかる書類を使って行われるので、これらの資料の準備が必要です。
4.融資
無事に融資が決まると、借用証書など契約に必要な書類が送られてきます。書類を返送し契約手続きが完了すると、銀行口座に融資金が振り込まれます。
5.返済
返済は原則として月賦払いになります。元本の返済を最大で2年間据え置くこともできますが、その場合はこちら側から伝えないとならないので気をつけましょう。
申込みの詳しい流れ、電話番号などはこちら
税理士に依頼すると融資が通りやすくなる?
税理士を利用することで、融資が通りやすくなる場合があります。例えば税理士が「認定支援機関」へ登録している場合、税理士に創業計画書を作成してもらうことで、利息が安くなる「中小企業経営力強化資金」という制度を利用できます。
手続きに関しても、税理士が確認させていただくため、書類の不備がなくなり、借入までにかかる時間を短縮することができます。
また、税理士の紹介があることで、経理の面での信用や融資によって経営を立て直せる可能性の高さなどの証明にもつながる場合があります。(専門家に依頼すれば必ず融資が受けられるわけではありません)
弊所でも「認定支援機関」としてサポートを行っていますので、公庫からの融資を検討される方はお気軽にお問い合わせください。