2020年12月に発表された東京商工会議所主催「中小企業の経営課題に関するアンケート調査結果」によれば、ウィズコロナ・アフターコロナを見据えた経営で重視する点につき、「財務体質の強化」に次いで「人材開発・人材教育」がランクインしております。
また弊社にもお問い合わせを頂く機会が多くなりましたので、今回は、人材育成(人財化)について取り上げたいと思います。
3年で3割が離職の現状
厚生労働省職業安定業務統計によれば、過去10年以上にわたって「若年層の3人に1人以上が、3年以内に退職」しているという結果が公表されております。
特に小規模事業所で顕著であり、従業員5人未満の所で新卒の6割、30人未満の所でも5割程度が3年以内に退職という状況です。
厚生労働省「平成30年若年者雇用実態調査」によれば会社を辞めた理由のTOP3は次のようになっております。
- 労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった
- 人間関係がよくなかった
- 賃金の条件がよくなかった
ここから見えてくるのは小規模企業ほど「残業が常態化」「残業代が出ない」「休暇がとりづらい」「ハラスメントの可能性」「風通しがよくない」などの就労環境が考えれられることです。
勿論、小規模企業が中堅・大企業のように処遇を上げるのには限度があります。
だからこそ改善に努めることと併せ、採用時の面接やインターン等で実態を予め伝える機会を作ることが、とても重要なのですね。
では、入社後に離職しないよう配慮しつつ、企業の戦力(財産)となるように育てて行くにはどうしたら良いのでしょう?
他人は変えられない
人は「感情の動物」と言われますが、私自身も実感していることとして、人の価値観や行動は基本的に変えられないということです。
※「基本的に」という点がミソですね!
新人は経験がなく知識も少ないのだから、教育は上意下達を信条とされているように見える企業がまだまだあります。
だからと言って怒鳴ったり、命令により相手を強制的に変えようとしても、実は相手が発しているのと同じか、それ以上のネガティブなエネルギーを自分が発して、相手も仕方なく従っているだけで、本質的には何も変わっていないことになります。
それならと人事制度を変えて評価を受けるポイントを明示すれば、「人は高い評価を受けたいので、自らよく働くようになるだろう」と考える企業もあります。
しかし、安易に人事評価制度をいじるのは危険です。
なぜなら高い評価を得ようとするのは外発的動機付けであり心からやりたいとする内発的動機付けではないので、いわば「餌で釣る」「ニンジンぶら下げ」モチベーションアップ方式であるためです。
結果として本質的に血肉にはなってませんので、リスクがある局面で(ニンジンがない時に)は、思うように働いてくれません。
もちろん担当している仕事で得られる貢献やそれでお客様から感謝されることが評価と連動しており、内発的動機付けによる行動と評価が一致するように人事制度が設計されておればいいのですが、なかなかそのような制度は少ないように思います。
自分は変えられる⇒「率先垂範」
結局、変えられるのは自分だけですので自身が「率先垂範」で儀表となる姿を見せていくしかありません。
まさに大戦時連合艦隊司令長官であった山本五十六の「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、誉めてやらねば人は動かじ」です!
植物を愛でて育てるように、種を蒔き(人を採用)、水(教え)を与え、太陽の光を浴びせ(OJTを実施)、あとは一歩下がって成長を見守っていくことが大事なのだと思います。
トップ始め先輩諸氏が率先垂範で、根気強く新人に合わせて説き、育てていくことで、エンゲージメントが高まり、定着(人財)に繋がっていくのですね。
そのような文化が醸成された後で、内発的動機づけが人事評価基準と連動するように制度設計ができればベストです。
つまり、自社の事業領域を明確に定め、その中で顧客への戦略商品を創り、提供することによる貢献度・満足(感謝)度を、スタッフのスキルとして定量的に評価できるように人事制度を構築すれば良いわけです。
仕事を通して従業員と共に成長していく
戦国時代の武将である武田信玄は「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」という有名な言葉を残しております。
信頼できる「人」は「城」にも匹敵するという意味です。企業存続のためには、組織の礎となる人材を発掘し、磨き、育て上げること、つまり『人財創り』が、組織として成長し続けることを可能ならしめ、永続企業への第一歩となるのです。
一見難しく思えるかもしれませんが、それは事実ではないのです。
※振返ってみれば物事は思った以上に簡単だった場合が多いですね。
自身の「想い」は如何様にも変えることができるのですから!
このような鬱々とした時代ですが、どうか皆さまワクワクして人創りに取組んで頂き、貴重な人材である従業員と共に成長し、夢と目標を達成して頂けるよう切に願っております。
具体的な人材育成の方針・計画は、各社・各人毎に異なりますので、気になることなどありましたらお気軽にご相談下さいませ。
合掌